ホスト・ホステスの給料問題①~労働者性

未払い給与の請求,未払い残業代の請求等のために,
弊事務所にご相談に来るお客様の中には,
いわゆるクラブ・キャバクラ・ホストクラブ等の
ホステスやホストの方もいらっしゃいます。

一件華やかに見える世界ではありますが,
元々のアングラな体質に加えて,
昨今の不景気も影響し,
ノルマを果たせない場合のペナルティや,
売掛金の負担など,
極めて厳しい労働環境を強いられる方々が増えております。

そこで,今回は,
ホステス・ホストが法的に「労働者」として,
労働基準法等により保護されるかどうかについて,
お話したいと思います。

まず,以前から業界的によく言われてきたのが,
ホステス・ホストは個人事業主であり,労働者ではない,
ということです。
労働者でなければ労働基準法等は適用されず,
それらの法律によって守ってもらうことはできません。

このようにホステス・ホストが,
個人事業主と言われているのは,
ホステス・ホストが店舖内でお店側と共同し,
または独自の立場でお客様をもてなすという色彩が濃いもので,
個人のホステス・ホストに顧客がついたり,
その売上げに応じて報酬が変わるなどの特徴があるからです。

実際,店舗側から,
「君たちとの契約は委託だから,うちが雇っているわけではない」
と言われているホステス・ホストも多いかと思います。

もっとも,労働基準法上の「労働者」性というのは,
契約書に「委託」等と書かれているからといって労働者ではない,
などとそう単純に決まるものではありません。

判例上,「労働者」性の判断基準とされているのは,
「使用従属性」
というものです。

その判断要素としては以下のようなものが挙げられます。
①仕事の依頼,業務の指示等に対する許諾の自由の有無
②業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無
③勤務場所・時間についての指定・管理の有無
④労務提供の代替性の有無
⑤報酬の労働対償性
⑥事業者性の有無(機械や器具の負担関係,報酬の額など)
⑦専属性の程度
⑧公租公課の負担(源泉徴収や社会保険料の控除の有無)

このうち,特に重要なのは①から③であり,
⑧は使用者が操作できる事項であるからさほど重視されません。

このような基準に基づき,近年の裁判例では,
大阪地判平成17年8月26日
東京簡裁平成20年7月8日
東京地裁平成22年3月9日など,
ホステスの「労働者」性を肯定するものが数多く出ています

このうち,東京地判平成22年3月9日では,
「ホステス一般について労働者といえるかどうかはともかく」
と一応前置きをした上で,
少なくとも本件のホステスについては,
「業務従事の指示等に対する諾否の自由がなく,
業務遂行上の指揮監督を受け」,
「勤務場所及び勤務時間について強い拘束を受け」,
「代替性の高い労務提供態様であるし」,
「報酬が純売上高と連動しているけれども,
一定程度の固定額が保障されていた」
ことからすると,
「その就業実態が使用従属関係の下における
労務の提供と評価できる」から,
労働基準法上の「労働者」に該当する,
と判断しました。

ホステス一般について判断している裁判例ではありませんが,
一般に,
①ホステスさんに接客サービスをしない自由があるとは考えにくく,
仕事依頼の許諾の自由があるものとはいえないし,
②接客サービスの提供内容も自ずと決まっており,
クラブ内において店側からその遂行を求められているものといえるし,
③勤務場所,勤務時間,勤務日が定められており,
遅刻・欠勤の場合にはペナルティが課せられることになっており,
拘束力を有しているなどの事情があるといえますから,
ホステスの多くは,法的に保護されるべき
「労働者」に当たる可能性が高いと考えられます。

そうなると,労働基準法の適用があるわけですが,
このままその内容について続けますと長くなってしまうので,
続きはまた次回にすることと致します。

ホステス・ホストの皆様も,
また,自分の契約形態では労働者には当たらないと考えておられる方も,
「労働者」性はあくまで実質をみて判断されますので,
ご自身の待遇面で納得いかないと感じる部分
労働基準法違反じゃないか?と感じる部分があれば,
一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

弁護士 伊倉 吉宣
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伊倉総合法律事務所
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