弁護士募集

弊事務所では,
業務拡大の伴い,
現在,弁護士を募集しております。

60期以降の弁護士(または修習生)を対象としておりますので,
是非ご応募下さい。

ご連絡は,問い合わせフォームよりお願い致します。

伊倉 吉宣
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
伊倉総合法律事務所
〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目7番5号 虎ノ門Roots21ビル9階
TEL:03-6432-4940
FAX:03-6432-4950
E-mail:ikura@ikura-law.jp
URL:http://www.ikura-law.jp/
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

早出残業(早出出勤)~残業代請求

今回は,
未払い残業代請求の際に問題となる,
早出残業(早出出勤)
について弁護士としてご説明致します。

残業代請求サイト
http://overtimeguide.com/

当職は,普段分かりやすさを重視して,
「未払い残業代請求」と表現していますが,
正確には,
「時間外,深夜,休日労働に対する割増賃金請求」であり,
この「時間外」に関しては,
いわゆる残業,つまり通常の始業時間に出社し,
通常の退社時間まで仕事をしたが終わらず,
その後も残って仕事をする居残り残業だけでなく,
通常の出社時間よりも前に出社して業務を行う
早出残業(早出出勤)も含まれています。

従業員によっては,
通常の時間では仕事が終わらず,
残業を余儀なくされるのと同じように,
開店準備などのために始業時間よりも早く出社しなければならない
という方もいると思います。

このような早出残業(早出出勤)についても
居残り残業と同様に,
割増賃金(残業代)が発生するのかが問題となります。

会社側からすれば,
どのような場合に早出残業(早出出勤)につき,
割増賃金(残業代)を支払われなければならないのか。
従業員側からすれば,
どのような場合に早出残業(早出出勤)につき,
割増賃金(残業代)を請求できるのかという問題です。

早出残業(早出出勤)も労働時間と評価され,
居残り残業と同様に,割増賃金(残業代)が発生するポイントとしては,
当該早出残業(早出出勤)によって遂行する業務の時間が,
会社側の指揮監督の下で業務に従事している時間といえるかどうか
です。

したがって,
会社が当該従業員に個別に指示したり,
就業規則等により,会社側の指揮監督の下で,
始業前に一定の業務を行うことが明確に定められている場合には,
当該早出残業(早出出勤)も労働時間と評価され,
割増賃金(残業代)が発生します。

また,上記のように,
会社側からの明示的な指示,命令がなかったとしても,
実際に早出残業(早出出勤)を行わなければ,
会社側から不利益を受けるような場合には,
黙示の命令があったものと評価され,
当該早出残業(早出出勤)の時間が労働時間と評価され,
割増賃金(残業代)が発生する可能性があります。

さらに,
始業時間後の業務と附帯して通常必要とされる準備行為にかかる時間は,
労働時間と評価され,割増賃金(残業代)が発生する可能性があります。

例えば,
始業後の実作業をするために必要な,
機械点検や店舗開店作業,交代引き継ぎ業務等は,
会社側から直接明示的,黙示的な指示を受けなくても,
始業時間後の業務と附帯して通常必要とされる準備行為にかかる時間として,
割増賃金(残業代)が発生する可能性があります。

また,
朝礼,ミーティング,準備体操,掃除等については,
通常必要とされる準備行為とはいえない場合が多いと考えられます。
ですので,
会社側から明示又は黙示の指示がある場合のみ,
労働時間と評価され,
割増賃金(残業代)が発生する可能性があります。

またよく問題となるのが,
作業服,制服への着替え等の時間です。
これも業務の性質上,
義務的で,しかも一定程度の作業を要する場合には,
労働時間と評価され,
割増賃金(残業代)が発生する可能性があります。
裁判例でも,
作業服への着替えが義務的な場合に,
その着替え時間を労働時間と評価しながら,
更衣所への移動時間や休憩中の作業服の脱着時間に関しては,
指揮監督下にある時間とはいえないとして,
労働時間とは評価しなかったものもあります。

以上のとおり,
早出残業(早出出勤)
に関して割増賃金(残業代)が発生するかどうかについては,
各会社の実情や,
各従業員の始業後の業務内容,
実際に始業前に行う作業の内容等によって
結論が異なります。

会社側としては,
就業規則,労働管理規程等を整備するとともに,
従業員に各社内規程を周知させ,
また,各従業員の業務内容や,
必要な始業前作業の内容,それにかかる時間等
を把握しておき,適切な賃金を支払う必要があります。

他方で,従業員側も,
社内規程の内容を把握するとともに,
割増賃金(残業代)が支給されるべき早出残業(早出出勤)を行っている場合には,
きちんと正当な割増賃金(残業代)を
請求していくべきであると考えられます。

いずれにしても,専門的な部分ですので,
弊事務所のように無料相談を実施している弁護士事務所に,
ご相談されることをおすすめいたします。

弁護士 伊倉 吉宣
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
伊倉総合法律事務所
〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目7番5号 虎ノ門Roots21ビル9階
TEL:03-6432-4940
FAX:03-6432-4950
E-mail:ikura@ikura-law.jp
URL:http://www.ikura-law.jp/
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

事業場外労働に関するみなし労働時間制~残業代請求に対する抗弁

今回は,
労働者側の未払い残業代請求に対する,
会社側の抗弁の一つである,
事業場外労働に関するみなし労働時間制
についてご説明致します。

残業代請求サイト
http://overtimeguide.com/

1 はじめに

従業員の労働時間は,
本来事業主が正確に把握すべき事項ではありますが,
外回りが多い営業社員や記者など,
事業主の指揮命令が及びにくい性質の仕事をする社員については,
あらかじめ就業規則に定める等の方法で,
一定の労働時間(所定労働時間等),
勤務したものとみなすことができます。

会社側からすれば,
このような制度を設けておけば,
事後的に過大な残業代請求をされた場合に,
当該制度を理由として対抗できることになります。

しかし,当該制度を主張するためには,
後述するような,いくつかの要件を満たす必要があり,
実際には,このような要件を全く満たしていないのに,
当該制度を主張して,
従業員からの残業代請求を拒んでいる会社も多々あります。

会社の側からすれば,
当該制度が適法となるよう,
各要件を満たす体制を整える必要があり,
従業員の側からすれば,
当該制度が適法かどうか,
各要件を満たしたうえで運用されているかどうかを見極め,
適切に主張していくことで,
正当な残業代を請求していくことができるということになります。

2 実体的要件

事業場外労働のみなし労働時間制が適用できるのは,
① 事業場外で業務に従事し,
② 事業主の具体的な指揮監督が及ばず,
③ 労働時間を算定することが困難な従業員
に限定されます。

ですので,事業場外で労働をする従業員であっても,
携帯電話等で随時会社の指示を受けながら(報告をしながら),
労働をしている場合や,
訪問先等の具体的な予定を指示されたうえで事業場外業務を行い,
その後事業場に戻ってくる場合等には,
みなし労働時間制は適用できません。

実際の事案において,
この各要件を満たすかどうかの判断は,
極めて困難ですので,
弁護士等の専門家にご相談することをお勧めします。

3 手続的要件及び効果

事業場外労働に関するみなし労働時間制を導入するためには,
まず,就業規則にその旨を定めることが必要です。

【就業規則記載例】
外勤営業,出張,在宅勤務その他社員が労働時間の全部又は一部について,
事業場外で勤務した場合で,その労働時間を算定し難いときは,
第●条の所定労働時間を労働したものとみなす。

この定めを設けることで,
上記実体的要件を満たす従業員に関して,
所定労働時間を労働したものとみなすことができるようになります。

また,事業場外業務を遂行するために,
通常所定労働時間を超えて労働することが必要である場合には,
その業務の遂行に通常必要とされる時間を労働したものとみなすことができます。

【就業規則記載例】
事業場外の業務を遂行するために,
所定労働時間を超えて労働することが必要な場合には,
その業務については,
通常必要とされる時間を労働したものとみなす。

上記「通常必要とされる時間」については,
その解釈に争いが生じる可能性があり,
また,業務の実態を踏まえて労使間で協議して定めるのが望ましいので,
労使協定を結ぶことが望ましいと言われています。

【修行規則記載例】
労働基準法第38条の2第2項に基づく労使協定が締結された場合には,
事業場外業務の遂行に通常必要とされる時間は,
当該労使協定によって定められた時間とする。

なお,「通常必要とされる時間」が法定労働時間(1日8時間)を超えない場合は,
上記労使協定も必須ではありませんが,
「通常必要とされる時間」が法定労働時間(1日8時間)を超える場合には,
上記労使協定及びそれに基づく労働基準監督署長への届け出が必要となります。

4 おわりに

以上のとおり,
事業場外労働に関するみなし労働時間制は,
実体的にも,手続的にも,
いくかの要件を全て満たして初めて適法となる制度ですので,
会社側としても,
当該要件を満たすように制度を設け,運用していく必要があり,
労働者側も,
残業代請求をしていく際には,
当該各要件を満たすのかどうかを判断し,
適切に主張していく必要があります。

今回ご説明した部分だけでも,かなり高度な法的判断が必要になり,
また,さらに他の考慮要素等もある制度ですので,
お困りの際には,専門の弁護士のご相談されることをお勧め致します。

伊倉 吉宣
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
伊倉総合法律事務所
〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目7番5号 虎ノ門Roots21ビル9階
TEL:03-6432-4940
FAX:03-6432-4950
E-mail:ikura@ikura-law.jp
URL:http://www.ikura-law.jp/
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□